東京都期限付任用教員の経験は正採用に有利か? 面接内容なども紹介
期限付任用教員の勤務期間は最大で1年限り、年度途中での採用の場合は、基本的に年度末までの雇用契約です。
しかし、次年度の採用試験を受けるにあたっては、特別枠で受験でき、一般の受験者と比べると優遇されています。
期限付任用教員は正規採用と比べると不利な条件ですが、そのような条件でも勤務したからには、次年度の正規採用に近づくのか、当時も調べましたがあまりにも情報が少なかったので、あくまで1例として私の体験を書いてみたいと思います。
仕事ぶり次第だが、次年度の採用は有利になる
まず結論ですが、私個人としては、期限付任用教員をしたことで次年度の採用がとても有利になり、正採用につながったと思っています。
むしろ、採用試験は形式的で、受験する前からだいたい受かりそうだなという感覚がありました。というのも、期限付任用教員として勤務していた学校で担任もしており、もちろんいろんな先生にたくさんご配慮いただいたものの、基本的には大きな問題もなく仕事をこなせていたからです。
期限付任用教員は、次年度採用された場合、ほとんどが同じ学校で採用となります。ちがう学校に配属となるのは、その学校で担当教科の教員数が次年度に減ることが決まっている、など特殊な場合だと思われます。
なので、勤務している学校での評価で採用が決まるとも言えます。
ただし、頑張って素晴らしい成果を残さないといけないというようなことはありません。ここでの評価は、一般常識があり、普通の仕事ができるということです。
そもそも期限付任用教員が配置されているということは、その学校で急な欠員などが生じたということです。
そして最近は教員志望者が減少していて、教科によっては講師などがまったく見つからないこともあります。そのような場合、今いる先生たちで仕事を分担していることが多く、ただでさえ忙しい先生の負担がさらに増えて現場が疲弊し、学校によっては、さらなる休職者が生じるなどという悪循環が生まれています。
そういう状況で、新卒や初任の先生が、あまり学校のことをわかっていない状況にも関わらず、そつなく通常業務をこなせているというのは、それだけで十分に貴重な人材であるという空気を感じました。(どの業界でもそうだと思いますが、年齢を重ねた人でも普通の仕事ができないという人はいます。)
実際、副担任や学年の先生方にサポートもいただきましたし、担任の裁量に任されていてやらなくていいこと(学級通信の発行や、生徒の日誌を毎日集めることなど)は基本的にやらないという脱力系のスタンスでしたが、それで文句を言われたことはありませんでした。
むしろ「本当に来てくれて助かった」という言葉も何度か言っていただきました。
もちろん、お世辞も入っていたと思いますし、私の思い込みもあると思いますが、採用試験を受ける前から、この学校で必要とされているなという感覚をもっていました。
受験前にしたこと
期限付任用教員の経験があれば、特例選考に出願することができ、選考内容は面接のみでした。(英語科の先生は実技試験があります。)
私がやったことは、以下の2つです。
- 周りの先生に、過去に見かけた期限付任用教員のその後について聞き情報を集める
- 校長に面談の練習を兼ねた相談をする
①の周りの先生からの情報は数が少なかったものの、多くの先生が、だいたい受かるんじゃないの〜みたいな感じで、落ちたという情報は聞かなかったので、ここで大丈夫そうだなという感覚を持ちました。
また、私自身、面談が得意というほどではないけれど、極度の緊張で話せなくなるというタイプでもないので、特に準備はしませんでした。そもそも、40人クラスの担任をしていて、授業などの通常業務が忙しく、原稿を一字一句用意して覚えるような余裕がありませんでした。
それでも一応、校長に採用試験で面接があることを伝え、一度相談というか面談していただきました。
ひとことに校長といっても、人間性や仕事力など本当にいろいろな人がいます。
管理職には職場にネガティブな影響を与えてくるタイプもいるので、校長がそういう人だと感じるなら無理に相談しなくてもよいのかもしれません。
私の場合は、尊敬できる、とても仕事のできるタイプの校長だったので、普段の仕事の報告なども兼ねて面談の機会を作っていただきました。
改まって面接練習をするという感じではなく、面接について相談したいという話をしている時に、校長からの所見(来年も採用したいかどうか)があるという話を聞いたような気がします。
校長からの所見があるなんていうオープンな情報はないはずなので、本当にそれが存在したのか、また今でもあるのかは分かりませんが、採用する側の立場としては、ある程度は理にかなった方法だと思います。
校長がちゃんとした人であるという前提ではあるものの、面接の数分だけで人柄と仕事への適性を見極めるのは簡単ではありません。逆に言えば、現場の校長からの評価が高ければ、面接は確認程度でも大丈夫そうです。
次年度の採用試験の申し込みでの注意点
期限付任用教員として勤務した場合には、次年度の採用試験は、特別枠での受験が可能です。ただし1つだけ注意点があります。
それは、当たり前ですが、該当する特別枠で申し込むことです。
つまり令和7年度の採用ならば、「特例選考⑤」での申し込みになります。
何を当たり前のことを言っているのかと思われるかもしれませんが、多忙を極めていたためか、期限付任用教員を経験したにもかかわらず、一般の枠で申し込んでしまった人が実際にいました。
申し込み締め切り後に気づいて、教育員会に問い合わせたそうですが、教育委員会もお役所仕事なので変更できなかったそうです。そしてその人は、残念なことに不合格になっていました。
合否の割合はどのくらいなのか
私が受験したときは、情報が少なく、周りの先生に聞いた限りでは、期限付任用教員を経験した人はほとんど受かるのではと言われていました。
しかし、実際には不合格の方もいました。
私の知っている範囲では、10人中7〜8人が合格した感覚です。丸1年間勤務した人は、だいたい合格していました。
一方で、不合格だった方は、期限付任用教員の名簿に搭載された後、半年以上経ってから採用が回ってきた方が多かったイメージでした。また、研修などで一緒になったときに、一般常識的な点で、明らかに何か違和感があるという場合も順当に不合格になっていた気がします。
これらはあくまで私が周りで見た範囲なので、全体で見ればちがうかもしれませんし、近年の教員不足で状況が変化していることも十分に考えられます。
特例選考の面接で聞かれたこと
期限付任用教員経験者の、特例選考の面接は、あっさりしていました。
メモなどしていたわけではないので、きちんとした記憶ではありませんが、覚えている範囲では、
- 現在している仕事の確認(担任、分掌、部活動など)
- 場面の想定があり、そのときどうするかという実践的な問題
が記憶に残っています。
私が聞かれた場面想定は、「生徒から他の先生には言わないでほしいと前置きがあった上で、あなただけに相談がもちかけられました。この場合、どう対応しますか?」というような内容でした。
面接練習などは特にしていなかったので、その場で考えて「生徒から他の先生には言わないでほしいと言われているということをきちんと伝えた上で、学年など他の先生に共有する」と答えました。
これでよかったのかとても不安だったのですが、後日、校長にこの内容を聞かれたことを話すと、私の答えでいいと思うと言っていただきました。
その他の質問は、おそらく経験を話したり、現在の仕事のことについて雑談に近い雰囲気でしたが、この質問だけは、テストされている気分でした。これだけで合否が決まるとは思えませんが、実際、この質問は回答の内容に対して点数がつく質問だと思います。
期限付任用教員の方で、もしこれから特例選考を受験される方がいたら、こういう場面想定をいくつか練習しておくといいかもしれません。これは勉強でなんとかなるものではなさそうなので、可能ならば、経験のあるベテランの先生や、管理職にお願いして練習してもらうのがおすすめです。
また、この1年の経験や、現在やっている仕事は、伝え忘れるともったいないので、事前に整理しておくといいと思います。
担任、副担任、教科での仕事、分掌、部活動、全校行事の担当(体育大会など)、学年での担当(会計、宿泊行事など)など、細かいものまで一度洗い出して、最も自分の価値を売り込めるエピソードは何か考えておくと当日スムーズに話せそうです。
まとめ
期限付任用教員として、普通に仕事をしていれば、その普段の仕事ぶりが評価されているはずなので、次年度の採用試験はそれほど心配しなくていいと思います。
特に、教員不足が叫ばれる現在、期限付の仕事が回ってきた時点で、その教科の人材がある程度不足しているはずです。
もちろんできる範囲で準備はしつつ、自信を持って、普段通りに臨めば大丈夫です。
これから受験される方、応援しています!